シチュエーションアウェアネス

IT系のニュースリリースを眺めていたら聞き慣れない言葉「シチュエーションアウェアネス/シチュエーショナルアウェアネス」( Situation Awareness/Situational Awareness )という単語を発見した。

それって、何?

日本語に訳すと「状況認識」だという。

ちなみに、そのニュースリリースというのは「アクセンチュアがシンガポールにシチュエーショナルアウェアネスのイノベーションセンターを開設した」というリリースだった。

アクセンチュアがイノベーションセンターを開設するぐらいだから、「シチュエーションアウェアネス」は最先端テクノロジーのひとつとして注目されているのに違いないと思ったのと同時に、初耳かつ強烈に知らない気にさせるワードは、すぐにも意味を調べるべきだという気持ちが無性に沸き立った。

シチュエーションアウェアネスは、つまり状況認識を概念とする技術だという。 これは、日本語に訳しても聞き慣れない言葉だが、日本語にするとなんとなく雰囲気はわかる。そして、状況認識は、今後、社会において重要かつ必須となるデジタルテクノロジーとして展開されるといっても過言ではないので、覚えておくとよいと思う(自分は、忘れるな)。

状況認識とは

状況認識を概念とする技術は 、ザックリ説明すると、車などの自動運転システムの状況判断に使われたり、 市民の安全を守る犯罪抑止等のパブリックセーフティ分野(これも聞き慣れない言葉だが)に応用される技術。人工知能(AI)・IoT・ブロックチェーン・拡張現実(AR)・仮想現実(VR)などの最先端技術を応用し、実現することができる、さらに最先端の技術となる。いうなれば、デジタルテクノロジーの集大成ともいえる、近未来技術のひとつとなる。

実は、シチュエーションアウェアネスは、もともと軍事の世界で生まれた概念。元アメリカ空軍の主席研究員マイカ・エンズリー(Mica Endsley)が1995年にSA(Situation Awareness)モデルとして提案したもの。

SAは、そのときの状況に応じた最適な行動を起こすため、自分が置かれている状況を認識すること。航空機(軍用機)の飛行、制御、保守など、タスクの全範囲を考慮した場合に、今、何が起こっているかを知るために必要なすべてのことを理解することだという。

具体的には、たとえば戦闘機パイロットの場合、SAは敵軍の脅威と意図、および自分の機体のステータスを知ることを意味する。航空管制官においては、SAは現在の航空機の位置と飛行計画を把握し、将来の状態を予測して競合の可能性を検出することを意味する。運用面では、SAの一般的な定義は、時間と空間における環境内の要素の認識、それらの意味の理解、および近い将来の状態の予測をすることをいう。

マイカ・エンズリーによると、SAは以下の3つのレベルに分類されるという。

  1. 知覚:何が起こっているのか知る。
  2. 理解:どうして起きているのか理解する。
  3. 予測:このままにするとどうなるのか予測する。

現代におけるSA、すなわち状況認識技術は、最新の解析技術やAIを活用し、その場の状況を把握し、何が起きているのかを判断、その原因を理解し、その後どうなるのかを予測する技術を指す。つまり、技術の進歩により、より具体的なSAモデルのシステム構築が可能になりつつある。その技術は、自動車等の自動運転などにも応用される先端技術である。また、さまざまな脅威やリスク、危害に備え、公共の安全を脅かす事件に迅速に対応するための技術として期待されている。ちなみに、アクセンチュアのイノベーションセンターの目的は、後者のようだ。

アクセンチュアは、分析ソフトウェアのプロバイダーであるSASなど大手テクノロジー企業とともに、パブリックセーフティに携わる公的機関の使命と職務を支援する状況認識ソリューションを共同開発している。最新技術である状況認識ソリューションを通じて、機関の保有するデータをリアルタイムに分析する手法を開発し、パブリックセーフティ機関の課題解決を目指すという。

これらの技術を応用する先には、画像・音声認識などのIoTセンシング技術を融合することで、異常事態発生の予兆を検知することが可能になり、また予兆管理からセーフティ機関の指揮支援、証拠管理にわたる統合システムを発達させ、連携を取ることにより、事件・事故の未然防止と早期解決につなげることができるようになるといわれている。

具体的には、群衆の異常行動などを検知すると、関連地域の地図やリアルタイムのカメラ映像、過去事件情報などを一元的に活用して、警察官を現場へ速やかに配置させることで、事件を未然に防止することが可能になるという(期待されている)。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする